194 研究系及び研究施設の現状
鈴 木 敏 泰(助教授) (1998 年 1 月 1 日着任)
A -1) 専門領域:有機合成化学
A -2) 研究課題:
a) 有機 E L 素子のため有機半導体の開発
b) 電界効果トランジスタのための有機半導体の開発
A -3) 研究活動の概略と主な成果
a) パーフルオロフルオレンオリゴマーは,優れた電子注入性,電子輸送性,およびホールブロック性が期待され,高 性能な電子輸送材料として興味深い。今年度,3 量体および 4 量体(PF-nT; n = 3, 4)の合成とキャラクタリゼーショ ンを行った。これらの化合物は無色の固体であり,結晶性であるパーフルオロフェニレンオリゴマーとは異なり, 150–170 度にガラス転移を示すアモルファス材料である。また,有機溶媒にもよく溶けるため,真空蒸着だけでな くスピンコートによるウェットプロセスも可能である。サイクリックボルタンメトリー(C V )の測定によると,2 電子還元まで可逆であり,還元電位もパーフルオロフェニレンオリゴマーに比べかなりプラス側にシフトしている。 蛍光あるいは燐光発光材料を用いた有機 E L素子を試作したところ,電子注入性,電子輸送性ともに非常に高いこ とがわかった。
B -2) 国際会議のプロシーディングス
Y. SAKAMOTO, T. SUZUKI, M. KOBAYASHI, Y. GAO, Y. INOUE and S. TOKITO, “Perfluoropentacene and Perfluorotetracene: Syntheses, Crystal Structures, and FET Characteristics,” Mol. Cryst. Liq. Cryst. 444, 225–232 (2006).
B -3) 総説、著書
阪元洋一、鈴木敏泰 , 「π 共役系有機半導体〜 n 型半導体を中心に〜」, 進化する有機半導体 , エヌ・ティー・エス, 140–147 (2006).
阪元洋一、鈴木敏泰 , 「フッ素化ペンタセンの有機薄膜トランジスタへの応用」, フッ素系材料の応用技術 , シーエムシー出版 , 137–147 (2006).
B -8) 他大学での講義、客員
名古屋大学大学院環境学研究科 , 「物質環境学特別講義」, 2006年 10月 5日, 12月 14日.
B -10)外部獲得資金
基盤研究 (C ), 「有機 E L 素子のためのアモルファス性有機電子輸送材料の開発」, 鈴木敏泰 (1999年 -2000 年 ).
基盤研究 (B)(展開)「フ, ッ素化フェニレン化合物の有機 E L ディスプレーへの実用化研究」, 鈴木敏泰 (2000 年 -2001年 ). 基盤研究 (B)(一般)「有機, トランジスタのための n 型半導体の開発」, 鈴木敏泰 (2002 年 -2003年 ).
研究系及び研究施設の現状 195 C ) 研究活動の課題と展望
有機薄膜太陽電池は,有機 E L 素子および有機トランジスタに続く第三の有機半導体の応用分野として注目されている。有 機太陽電池においてシリコンあるいは色素増感太陽電池にない特徴として,①極端に薄く,軽くできる,②フレキシブルであり, どのような形状にも対応できる,③ウエットで作成できればコストがかなり抑えられる等が挙げられる。では,実用化の目途で ある効率 10% を超える有機太陽電池を開発することは可能だろうか? 私は素子構造と材料の両面からアプローチし,これ を実現していきたいと考えている。